参考記事 https://www.iherb.com/blog/what-is-sibo-and-what-can-help/248
iHerbのSIBO (小腸内細菌異常増殖) についての2017年11月13日の記事 (by 自然療法医のマイケル・マレー博士) を引用しています。
この記事は特に情報が詰まっていてとても長いのですが、『泣きたいほど本当に悩んでいるんです』という方々にとって今後の治療のために必要な知識だと思います。頑張って学んでいきましょう。
私がSIBOに辿り着くまで
2020年から私は今までと明らかに違うお腹の張りを感じていました。それまでは私は腰回りには脂肪が全然つかない体質で腹筋もあったし、空腹時はお腹がぺたんこになる体質でした。
ですが、太ったわけでもないのに、お腹がまるで妊婦さんや幼児のように前にパーンと出るようになったのです。私の場合は本当に上のイラストのようなイメージでした。症状は徐々に悪化し、お腹は張っているというか風船のように膨らんでいるという感じ…。お通じの回数も少なくなり、ガスも溜まりやすく、体臭も気になり始め、脚もむくみ痛くなりました。身体の巡りがとても悪くなっているという感じです。
病気の心配もしたし、ガスや体臭から徐々に人に会うのが不安になって、毎日のようにお腹の張りについて調べ続けているうちに、SIBOという言葉を頻繁に目にするようになりました。
SIBOの説明 (マイケル・マレー博士)
胃および小腸は、微生物が比較的少なくなるようにできています。その理由は明らかで、小腸で微生物が過剰増殖すると、様々な栄養が吸収される前にそれらの微生物が栄養素を利用してしまうと考えられるからです。その結果、炭水化物の発酵とタンパク質の腐敗作用が起こります。それによって、過敏性腸症候群(IBS)に類似した消化器症状だけでなく、多くのガスが生じ、さらにはいくつかの付随する症状を引き起こす可能性があります。IBSは、以下のいくつかの症状と関連します。
- 腹痛または腹部膨満
- 腸機能の変化、便秘また下痢
- 結腸粘液の分泌過多
- 消化不良症状(鼓腸、吐き気、食欲不振)
- さまざまな程度の不安やうつ病
SIBOには、しばしば他の関連症状があります。
- 脳の「疲労」
- 疲労
- 関節痛
- 皮膚の問題:にきび、湿疹、発疹、または酒さ
- 体重減少
まさにこの”腹部膨満”という言葉がぴったり。SIBO関連記事ではよく『バルーンのように膨らむ』という表現も目にしました。幼児のような、妊婦さんのような…胃の下あたりから太ももの付け根近くまでお腹がパーンと膨らんでいる感じ。それに加えて、便秘、軽い鬱症状(その後しばらく通院)、体力が無くなりとても疲れやすく車でスーパーに行っただけでクタクタ、体重減少も当てはまりました。
SIBOの診断法
SIBOを臨床的に診断する主な方法は、呼吸検査です。この検査は、患者がグルコースまたはラクツロースのいずれかを摂取し、次に20分ごとに収集バッグに呼吸を行い水素およびメタンを測定します。通常、これらのガスは大量に吐き出されることはありませんが、SIBO患者はそのレベルがかなり高くなることがあります。検査用の2つの糖のうち、グルコースは通常、より重要な結果をもたらしますが、小腸の前半部分における細菌の過剰増殖しか示しません。過剰増殖が小腸の後半部分である回腸で生じる場合、ラクツロースがより有効です。
患者が水素またはメタンのいずれかが正常レベルを超えると、呼吸検査によるSIBOの診断が行われます。SIBOには、水素支配的、メタン支配的または混合タイプがあります。水素が顕著なSIBOは、下痢に最も関連しますが、メタンが顕著な場合は便秘に最も関連します。この差は、異なるタイプの腸内細菌の過増殖を示しています。
インターネットで調べたところ、SIBOの検査治療は日本では自由診療となるため、診察できるクリニック自体とても少なく、この呼吸検査だけで大体4万円以上かかるとのこと。SIBOと診断を受ければその後はそれ以上の治療・お薬代が毎月かかります。しかも海外で一般的にSIBO治療に有効だとされている薬は日本では現在扱っていません。
検査だけで4万円以上…. 藁にもすがりたい思いでしたが、とにかくリサーチを続け、英語でサイトやYouTubeのSIBOに関する情報を集め続けました。たくさんの役立つ情報がありましたが、海外では保険適用となる場合が多く治療を受けやすい環境である一方で、治療・薬・食事のサポートなどを受けても実際に完治するのは難しいという声が多い印象でした。
腸といっても大腸と小腸がありますね。一般的に腸活というと大腸の方を指すそうです。大腸には約1000種類、100%兆個もの細菌が住んでいるのですが、その中でも特に悪玉菌を減らし、善玉菌を増やしていきましょうということですね。一方で胃や小腸には実は細菌がとても少なく、そんな小腸内で細菌が過剰に増えてしまうことがSIBO(小腸内細菌異常増殖)ということになるのだそうです。しかし実際、私はなぜSIBOになってしまったのでしょうか?
SIBOの治療
ほとんどの場合、SIBOの治療は、細菌の過増殖に対処する治療に低炭水化物の食事を組み合わせます。低FODMAP食が、主要な食事補助として登場しています。FODMAPとは、短鎖炭水化物(オリゴ糖)と糖類です。腸内細菌によって発酵され、水素または二酸化炭素等のガスを大量に生成し、腹部膨満を引き起こします。FODMAPの源には、ほとんどのマメ科植物、野菜、果物と穀物等があります。だから、このダイエットは非常に制限的で、持続可能ではありません。幸いにも最近の研究は、消化酵素サプリメント、特に様々な問題の原因となるオリゴ糖や糖類を消化するために開発されたサプリメントの使用が、非常に多くの健康促進食品を避けることなく、消化器症状の改善に有効であることを示しています。
細菌の過増殖に対処する限り、従来のSIBO治療は、主に抗生物質の投与に依存しています。しかしこの治療法は、最終的に、微生物叢のさらなる妨害のために付加的な問題を引き起こします。対照的に自然な治療法は、SIBOへの防御壁の適切な機能を回復することで細菌の過剰増殖に対処すること、または同様の効果を生じるように設計された補足治療に焦点を当てています。この補足治療の目標として重要なことは、塩酸(HCl)補充療法、消化酵素、および胆汁分泌と蠕動を促進する薬草(例えば、ベルベリン、生姜、アーティチョーク、ミルクシスルやその他の利胆薬)を使用することです。天然薬を使用し細菌の過剰増殖を抑えることも有用です。私の考えでは、これらの薬剤の中で最も重要なのは、消化酵素、ベルベリン、腸溶性のペパーミントオイルです。
実は私はこれらの症状が始まる前から美容に良い食事と腸活に関心があり、毎朝りんごとヨーグルト、昼食には納豆、お腹が空いたらまたヨーグルトを食べる習慣がありました。健康的な食事をしていましたが、食事量を制限することなく小腹が空いたらすぐ食べるし、夜遅くまで食べていることも多かったです。
さて、この”FODMAP”、検索すればたくさん出てくるので是非Googleなどで調べてみてください。FODMAPリストによると、私が『腸活、腸活』と一生懸命食べていたものたちは典型的なFODMAPに当てはまります。FODMAPの食べ物はSIBOの原因菌の美味しいエサとなるようで、私は悪い細菌にずっとエサをあげ続けていたようです。しかも、常にお腹がいっぱいだったため、消化器官が休まらず腸内に常にエサがあったことも大きな原因だったと思います。りんごもヨーグルトも納豆も(大腸の)腸活には良いのですが、(小腸の)腸内細菌のバランスが崩れるとそれらの食品は私たちの敵になってしまうようです。身体は免疫や敏感さ、許容範囲など個人差が大きいものです。何事もバランスが大事なのだと思い知りました。
SIBOの消化酵素
消化酵素、特にプロテアーゼとリパーゼは、SIBOに対する重要な保護因子です。膵臓からの消化酵素が不十分な場合、SIBOに関連する多くの症状に関係し、多くの場合、主要な基礎要因になる可能性があります。また消化酵素は、腸内の生体防御機構と考えられ、粘液性、粘着性の強い組織内で小腸の内壁に密集して付着する細菌の集合体、バイオフィルムの形成を妨げます。一般に、メタン生成細菌はバイオフィルムを形成する可能性が高く、しばしば取り除くことがより困難です。消化酵素は、バイオフィルム形成組織を食べることができるだけでなく、小腸の細菌の繁殖を抑制する役割も果たします。一般的にSIBOでは、食事の直前にダイジェストゴールドなどの効能の高い消化酵素剤を摂取することをお勧めします。
これを読んで、クリニックで治療を受けても完治の可能性が低いなら、日本で高額な治療費をこれからずっと払うより、自分にできることを実践してみようという気持ちになりました。また別記事に私が実践したことを詳しく書いていこうと思っていますが、SIBOを治すためには食べるものを変えるだけでなく、マレー博士が紹介するような様々なアプローチが必要になります。2021年、私は意を決して自己流SIBO治療を始めました。私はSIBO治療では特に『始めが肝心』だと思います。やんわりとした食事制限をダラダラと続けるだけでは改善は期待できません。長い道のりになるのは確かですが、最初に頑張れば徐々に楽になっていきますよ。
SIBOのベルベリン
ゴールデンシール(Hydrastis canadensis)、メギ(Berberis vulgaris)、オレゴングレープ(Berberis aquifolium)、オウレン(Coptis chinensis)などのアルカロイドベルベリンを含む植物は、感染性下痢症の治療に長い歴史があります。最近では、急性下痢の治療において有意な効果を発揮したピュアベルベリンに関し、多数の研究が行われています。ベルベリンは、大腸菌(旅行者下痢症)、志賀赤痢(細菌性赤痢)、サルモネラ・パラチフス(食中毒)、B.クレブシエラ、ランブル鞭毛虫(ジアルジア症)、赤痢アメーバ(アメーバ症)、コレラ菌(コレラ)等を含む多くの種類の微生物による下痢に効果があることが明らかになっています。
これらの結果は、ベルベリンが、多くの一般的な胃腸感染症の治療に有効である可能性を示しています。多くの場合、標準的な抗生物質に匹敵するという結果を示しているからです。実際、結果はいくつかの研究でより良好でした。従来の抗生物質に比べてベルベリンの利点は、選択的な抗菌作用を発揮することです。ベルベリンは、カンジダ・アルビカンスを含む広範囲の病原菌を標的にしますが、乳酸菌やビフィドバクテリア種などの健康促進細菌に対しては何の作用も及ぼしません。
他のいくつかの研究は、ベルベリンがSIBOに有効である可能性を示唆しています。動物モデルでは、ベルベリンは腸運動を改善します。この効果は、SIBO患者のもう1つの重要な目標です。ベルベリンは、SIBOでは研究されていませんが、過敏性腸症候群で研究されており非常に良い結果を示しています。Phytotherapy Researchに発表された2015年の二重盲検試験では、無作為化した下痢型IBS患者196人に、ベルベリン(200mg)またはプラセボ(ビタミンC 200mg)を1日2回8週間投与しました。プラセボ群ではなく、ベルベリン群では下痢が有意に改善し、排便の緊急性および頻度は減少したと報告されています。またベルベリン群は、初期スコアと比較して、最終スコアで腹痛が64.6%減少しました。ベルベリンは、IBSの症状スコア、不安スコア、うつ病スコア全体が有意に低下しました。最後に、驚くべきことではありませんが、ベルベリン群は、患者のクオリティ・オブ・ライフスコアの上昇と関連しましたが、プラセボ群ではそのような変化は見られませんでした。
ベルベリンは、血糖値、脂質および高血圧を低下させるための臨床試験で広く研究されています。25件以上の二重盲検試験において、ベルベリンは、これらの適用で従来の薬物療法と同等の有効性を示しています。私はこの効果に注目しています。これらの研究において、ベルベリンは食事の前に毎日2〜3回500mg投与されたからです。この投与量は、IBSにおける8週間試験で明らかになった効果よりも迅速な結果をもたらす可能性があり、SIBOにおいてより一貫した結果を示す可能性のある投与量かもしれません。下痢が一般的な症状である場合、ベルベリンはSIBOに対する私の推奨ハーブです。
専門用語が多く目が回りそうですが… とにかく早く元の体に戻りたいという気持ちで早速私は『ベルベリン』を取り入れました。ベルベリンは『標準的な抗生物質に匹敵する』ハーブ。クリニックに通う場合はお薬で抗生物質が処方されますが、私は長期戦を覚悟していたのでハーブで同様の効果を得られるなら続けやすいと思いました。ただ、血糖値や血圧を下げる効果があるからか、低血糖や低血圧などの症状を引き起こす場合もあるようです。どんなものでも良い効果と悪い効果があると思います。皆さんもご自身の体やお医者さんに相談してみてくださいね。
SIBOの腸溶性ペパーミントオイル
SIBOのための別の治療方法は、腸溶性ペパーミントオイル(ECPO)です。ペパーミントオイル、およびオレガノ、ローズマリー、タイム、キャラウェイシードに見られるような揮発性油に似ているオイルは、SIBO治療に役立つ有益な効果を示すと考えられています。ベルベリンのようなこれらの揮発性化合物は、選択的な抗菌効果を発揮し、ECPOは、IBSに非常に良好な結果を示しています。ペパーミントオイルのメントールや他の揮発性化合物は急速に吸収されるので、腸溶性コーティングが必要であると考えられています。この急速な吸収は、腸上部へ影響を制限する傾向があり、食道逆流および胸やけを引き起こす可能性があります。
約12件の二重盲検研究により、ECPO製剤がIBSに極めて有用であることが示されています。ECPOは、腸管の律動収縮を改善し、腸のけいれんを和らげる働きがあると考えられています。これらの揮発性オイルのさらなる利点は、小腸で過剰増殖する可能性のある細菌またはカンジダ・アルビカンスに対し有効なことです。ECPOの通常用量は、200mgを食間に1日2回です。
ベルベリンに加えて更にペパーミントオイルにオレガノ…とため息が出てしまう情報量ですが、私はSIBO治療の一番始めにはベルベリンを取り入れ、その後、腸溶性のペパーミントとオレガノを取り入れました。他の記事で、一種類だけではなく数種類のものを取り入れる、定期的に入れ替えるなどするのが良いと読んだので、私は信じてそのように意識していました。しっかりと小腸の奥まで届いてカプセルが溶けてくれるよう、腸溶性と記載のあるものを選ぶようにしましょう。
最終的なコメント (マイケル・マレー博士)
症状が細菌の過増殖が減少したことを示したら、反復呼気試験または症状評価で、どれくらい治療が成功したか決定します。症状が90%改善された場合、次のステップは、治療計画を継続することによるSIBOの再発予防です。相当期間の抗菌剤投与後に症状がまだある場合は、反復呼気試験がレベルの変化度を判断し、継続治療の必要性の判断に役立ちます。
クリニックに頼らない場合、完治したのかどうかという判断は難しいと思います。ただ、症状が少しずつ改善するのは自分の体で感じることができます。私としてはこれらの方法を根気よく続けて80%ぐらい治ったかな…という実感はあります。ただ残念ながら『突然の体質の変化』など奇跡が起きない限りはSIBOの完治というのは難しいのではないかと思います。私は30代でSIBOになりましたが、これからも一生上手く付き合っていかなければならないような気がしています。実際に以前のようにお腹がぺったんこと言えるほどの改善は無いです。幼児や妊婦さんのように膨らんだりガスに悩むことも無くなりましたが、しょっちゅうお通じが滞ることが原因なのか、今でも下腹部が張りやすい状態です。食事も治療を始めた頃に比べて制限が随分ゆるくなったので、それも原因かもしれません。FODMAPリストに忠実に食べればお腹が膨らむことはかなり防げます。私の場合は体臭はほとんど消えて安心しました。しかし食べ物が原因で頭皮の汗のにおいが少し気になる時は時々あります。好きなものを食べることも人生の楽しみの一部ですし、友達や家族と食事を楽しみたいものです。折り合いをつけながら、自分のペースで続けていくことが大事かなと思います。